足跡(寺社)92・「桜森稲荷」「鉄飛坂帝釈天堂」……2019.7.10

噛む力が強いらしく、嚙み合わせで欠損した部分を修復してもらった(虫歯ではない)2019年7月10日のこと。「少し沁みるかも知れません」と言われながらも麻酔なしで我慢したから食べることはできたので、天山飯店の開店時刻まで少しウロウロしてレバニラ定食を食べたようだ。日記はつけておくものだ。

胃袋に物が入ったのでたくさん歩く気にはならなかったが、以前から気になっていた稲荷に足を向けた。

「大岡山西住区センター」の正面が目的地……

「桜森稲荷神社」(目黒区平町1-16-10)……『この辺りの氏神様。京都の伏見稲荷の流れをくむという。一帯に桜が多かったのでこの名がついた。お稲荷さんは農家の神様で、2月の初午は今も盛況。境内には大ケヤキがある。』(境内の案内板) 今も近くの呑川緑道には桜並木がある。

無人の神社なのに掃除が行き届いていた。ご近所の方がなさるのでしょう。ごくろうさまです。

鳥居の左の堂宇には2基の庚申塔が祀られている。

左の文化7年(1810年)造立の駒型は、風化がすすんでいて青面金剛の足元がはっきりしないが、邪鬼、三猿が描かれていたのだろう。右の大きい舟型は享保5年(1720年)造立で、左より90年ほど古いがしっかりしている。分かりにくいが、青面金剛の頭をぐるぐる蛇が取り巻いているようだ。

文化九壬申(みずのえさる)年十一月(1812年)と彫られているが、旧鳥居の柱だろうか。 

創建年代は不詳だが、地元の方が伏見稲荷から農耕の神様・蒼稲魂命を勧請したと推察する。勝手な推察ついでに、桜の森「桜森」ではなく、かつては「櫻盛」だったかもしれない。

拝殿扁額……「正一位稲荷大明神

社殿脇から境内……

茶室脇に置かれる「つくばい(蹲踞、蹲)」のような手水鉢だが、メダカでも入れておかないとボウフラが湧くだろう。

拝殿の後ろには、きちんと本殿があった。

境内の看板……平町1丁目とあるが、この辺の坂道はたいしたことはない。

環七方向への道だが、ごくごく緩い上りであり、これは坂道とは言わない。

桜森稲荷の少し南方に「鉄飛坂下」……東に上る、これを坂道というが、ここは平町1丁目ではない。左側が平町2丁目で右側は大岡山1丁目だ。

坂上から振り返る……距離は短いが、弱った足には辛い。本当は桜森稲荷だけで帰るつもりでいたのだが、2017年1月15日に「寺郷の坂」からやってきてちょこっと訪問した「帝釈堂」境内の庚申塔をスルーしていたことを思い出したので頑張って歩いた。電動アシストママチャリなら楽々なんだが……
 ちなみに、「てっぴ」とは山頂、てっぺんを意味し、それが坂名になったといわれるが、他にもポルトガル人のテッピョウスという人物が住んでいたからとか、鉄砲鍛冶がいたからなど諸説あるようだ。鉄が飛んでこない事だけは切に祈る。

坂標のはす向かいに「鉄飛坂帝釈堂」(目黒区平町2-18-13)……堂内に、板碑型庚申塔3基と題目塔1基が区指定有形文化財として置かれているが非公開。保存状態が良く、美術的にも優れているということだが拝見できず残念だ。
庚申塔
「奉敬礼帰命帝釈天王」延宝8年(1680年)
「奉尊敬帰命帝釈天王」貞亭2年(1685年)
「南無妙法蓮華経(下部に帝釈天像を浮彫)」明治14年(1881年)
【題目塔】
「南無妙法蓮華経天保13年(1842年)
 上記のように、板碑型の1基には題目の下部に「帝釈天王」が彫られているようだ。これが帝釈堂の名の由来だろう。現在、目黒区内には70基ほどの庚申塔が残されているが、帝釈天信仰と日蓮宗信仰が結びついているのはここにあるものだけらしい。
 柴又帝釈天日蓮宗寺院だが、江戸時代中期に一時行方不明になった板に彫られた「板本尊」があるようだ。板本尊には「南無妙法蓮華経」のお題目の他に「法華経・薬王品」と、右手に剣を持ち忿怒の相をあらわした「帝釈天御本尊」が彫られているそうで、日蓮上人の手によるものらしい。すでに盛んであった「庚申待ち信仰」を追い風にして「帝釈天信仰」を高めていったのかもしれない。

帝釈堂の左に駒形と角柱の庚申塔が2基……前回訪問時になぜか撮らなかった愚かな私。おそらくさほど興味がなかったのだろう。

手前は年代不詳ながら、青面金剛、三猿に太陽と月をあしらった典型的かつ見事な駒形庚申塔


奥……「右ハ ほりの内 左ハ 池上」と彫られ道標のように見えるが、側面に「庚申供養塔」との文字が確認できたから庚申塔だ。堀之内は「お祖師さま・妙法寺」で、池上は大本山「本門寺」を示しており、この地域における日蓮宗信仰の深さが伺える。(もう一方には「右 目くろミち  左 二子の渡し」と彫られていたが、今日は写真はなし。)

でもって、駄菓子屋さんに寄った。店主のおばちゃんはお元気だったが、ヒザが悪いと仰っていた。たぶんあの日以来訪問していない。今度お寄りしてみよう。

今日の「My First JUGEM」は……『お腹がいっぱいになった昨日……』