足跡(寺社)89・上目黒天祖神社と「けこぼ坂」庚申塔……2019.6.14

さほど天気は良くなかったが、近くを通過していても立ち寄らなかった場所をいくつか訪問しに歩いた2019年6月14日のこと……

駒沢通りを歩くと、祐天寺の北に「上目黒天祖神社」の鳥居が目に入る。(目黒区上目黒2-32-15)

参道は駐車場になっていて車が陣取っているため歩けない。

私の訪問先は、ほとんどいつも人がいない。

年代は不詳だが、古くから「伊勢森」と称された地に鎮座し、天照大神を祀る伊勢信仰の神社であった事から「お伊勢様」と呼ばれていたと。

昭和8年(1933年)に造営された社殿のようだ。現在は「烏森稲荷神社」の兼務社であり無人社であるために氏子さんたちが維持管理されているのだろう。

【附けたり】
烏森稲荷神社(2020年4月8日)

「拝殿扁額」……味わいのある字だった。明治の宗教分離により「神明社」から「天祖神社」へ社号が改称されたと。

社殿右に「神輿蔵」……

そっと覗いたら立派な神輿が納められていた。昭和7年(1932) 年の行徳・後藤直光作らしい。

境内右側に「神楽殿」……例祭は毎年9月第1土・日曜に開催されるようだ。

手水舎の後方に「庚申塔」が見える。

台形状の水盤は昭和9年9月奉納。社殿造営に合わせてのことだろう。

青面金剛と三猿や二鶏らしきが浮き彫りにされた2基の駒形庚申塔

左は宝永5年(1708年)、右は享保元年(1716年)だが、九品仏目黒不動などが示され道標を兼ねた右の庚申塔は、かつては神社前の通り(現在の駒沢通り)にあったと。道標を兼ねた庚申塔としては区内最古のようだ。

拝殿左側の裏鳥居をくぐると……

「伊勢脇公園」……昭和52年(1977年)開園らしいが、古き「伊勢脇」の地名を留めている。

来た参道を引き返し……

駒沢通りの「けこぼ坂」を下る。
 天祖神社前に庚申塔兼道標が立てられていたことからも想像できるように、この道は古くから交通の要所だった。急な個所をなだらかにする工事を繰り返す際、赤土のかたまりがざらざらこぼれ、道幅を狭めていたこともあり難儀だったことだろう。こぼれて崩れやすい状態を目黒の方言で「けこぼ」と言ったのが坂の名の由来とのこと。

小学生が覗いていた……何度も歩いたけこぼ坂だが、なぜ当日まで撮らなかったのか不思議にも思うが、道の反対側ばかり歩いていたのだろう。

「けこぼ坂庚申塔」……石の壁と屋根で、頑丈にガードされている。花を供えるのはご近所の住人か、あるいは区役所の職員か。

三猿と青面金剛と三猿が彫られたオーソドックスな舟型庚申塔……造立年は元禄8年(1695年)と天祖神社のものより古い。「イボ神」との説もあるが不明。

今日の「My First JUGEM」は……『3月の空蝉……』