足跡(寺社)167・蜜蔵院(後編)……2020.3.24

2020年3月24日にお邪魔した、東急多摩川線沼部駅にほど近い密蔵院の後編……

墓地に建つ不動堂から本堂に引き返す途中の右手に「書院・寺務所」……

正面が大慈閣で、その手前右に本堂……

本堂前にある「十三佛塔」……まわしたかったが消毒液を持参していなかったので断念した。なぜ忘れたのかはさておき……
十三仏」とは「十方三世」の仏さまを代表する十三体の仏さまなのだが、北・東・南・西の4つの方角と、その間の東・南東・南西・北西の4つを合わせた8つの方角と、上方・下方の 2方を合わせた10の方角を表わすのが「十方」。「三世」とは、過去・現在・未来の3つの世界。そして、仏さまの世界を表した「曼荼羅」の中から選ばれた「十三仏(5体の如来・7体の菩薩・1体の明王)」は、死者の追善の法事を修する初七日から33回忌までの13回の供養にあたり、その年忌に配当されている。
 折角調べたから書いておくが、「不動明王(初七日)」「釈迦如来(二七日)」「文殊菩薩(三七日)」「普賢菩薩(四七日)」「地蔵菩薩(五七日)」「弥勒菩薩(六七日)」「薬師如来(七七日)」「観音菩薩(百ケ日)」「勢至菩薩(一周忌)」「阿弥陀如来(三回忌)」「阿閦(しゅく)如来(七回忌)」「大日如来(十三回忌)」「虚空蔵菩薩(三十三回忌)」の順番とのこと。昔は百回忌や百五十回忌を営むこともあったそうだが、現在では三十三回忌で法事を終わらせるのが一般的なのだろう。

本堂左に「大慈閣」……もとは観音堂と呼ばれた建物が現地から200mほど離れた場所にあり、七体の観音像が安置されていた。それが多摩川の洪水で流されたため、境内に移されたと。現在の大慈閣は宗祖弘法大師1150年の御遠忌を記念して昭和59年(1984年)に新築されたそうだ。いつの時代の洪水かわからないが、全国各地で毎年 水害が発生している。自然現象には抗えないが、命だけは守りたい。

扁額……大慈閣の御本尊・七観音は雷止七観音とも榎木観音とも呼ばれていたそうで、「千手観音」「十一面観音」「如意輪観音」「聖観音」「不空羂牽(ふくうけんじゃく)観音」「馬頭観音」「准胝観音」が安置されているそうだ。聖観音菩薩を中心とした七観音すべてをそろえているのは他に類例を見ないとのこと。
 ※ 「不空羂牽観音」の「不空」とは信じれば必ず願いが叶い空しい思いをさせないことで、「羂牽」とは古代インドで猟や戦闘に使われた捕縛の為の縄。従って、人々の悩みを逃がすことなく捕らえ、救済し、願いを叶える観音様のようだ。

左の大慈閣から右の金剛尊院まで見渡したら、目に入った。

ベンチに灰皿……ありがたくいっぷくさせていただいた。今年は行かれなかったが、初めて訪問したこの時から昨年まで、毎年桜の時期にお邪魔して休憩させていただいた。本堂へのスロープも備えられていた。

一服しながら眺めたが、なんとも意味深いお言葉だった。

「金剛尊院」……

安政2年(1855年)の江戸大地震によってお堂が倒壊したり、大正12年(1923年)の大地震や太平洋戦争によって講中の大半が四散したため、庚申様は本堂の一室に安置されていた。旧来の信者の力によって昭和41年(1966年)5月に待望の庚申堂が建立され、昭和56年(1981年)に密蔵院庚申堂から金剛尊院へと寺格が上がったそうだ。従って、その時から「塔頭」の文字を付けたのだろう。

金剛尊院扁額……三猿も古そうだ。

頑丈そうなガラスでシャットアウトされていた。

立派な厨子に納められた木造寄木造り、彩色、玉眼で像高91㎝と大ぶりな六臂の庚申尊「青面金剛」は美しかった。元禄7年(1694年)に江戸浅草町の大仏師 浄心により造像され、文化9年(1812年)には地元の大仏師 楠運彫が修理したことが明らかになっていているとのこと。
 青面金剛の両脇には二童子……青面金剛の儀軌(ぎき・規定)によると、それぞれが香炉や宝珠を持つといわれるが、私の写真でも何とか分かる。
 最前列には三猿を中心に、左右に二体ずつ四夜叉「毘陀羅(びだら)」「阿跋摩羅(あばつまら)」「ケン陀羅(けんだら)」「烏摩勒伽(うまろきゃ)」を従えている。完璧に具備されている青面金剛は、当然のように大田区重要文化財

カタカナはすんなり読めない私にとって、平仮名はありがたかった。

提灯もあった。

今年(令和6年)の庚申の日は2月26日(月曜日)、4月26日(金曜日)、6月25日(火曜日)、8月24日(土曜日)、10月23日(水曜日)、12月22日(日曜日)だ。何か行事があるだろうから行ってみたいがダメだろうな。

金剛尊院前の巨大庚申塔……私の勝手な推測だが、庚申堂が建立された時、あるいは寺格が上がった折に造立されたのかもしれない。

四散していた講中の庚申様などだろう。しゃれた白いテーブルとベンチだが、なぜか不似合いではなかった。

同寺山門にも掲げられていたが、「国際仏旗」があることを知ったのはこの時だった。

今日の「My First JUGEM」は……『私の仕事 豆の買出し……』