足跡(寺社)113・波除神社……2019.12.18

築地場外市場に行ったついでに寄った。「ついで」と言いながら、買い物より時間をかけた2019年12月18日のこと……

左が波除神社で右が場外になるが、写真正面にあった築地場内市場は跡形もなかった。前年は豊洲に行ったのだが、遠すぎて疲れたのではこの年は築地場外にした私。

「海幸橋(かいこうばし)」……昭和2年(1927年)に波除神社と築地市場との間の川にアーチ型の橋が架けられた。平成7年(1995年)に川が埋め立てられ、橋は平成14年(2002年)に撤去されたが、鋼鉄製の親柱2基は記念物として保存されている。破損した部材をもと通りに修復し、塗装も創架当時の濃緑色に戻してあるとのこと。もう1基は旧市場側の対角線上にあった。

日本橋にあった魚市場が、大正12年(1923年)の関東大震災で全焼したため、築地への移転に先だって架橋されたとのこと。私は現物を見たことはないが、長靴のおっさんたちが行き交う姿は絵になったことだろう。

「波除神社」(中央区築地6-20-37)……

「獅子殿」……江戸時代「つきじ獅子祭」の名称の元をなした「厄除天井大獅子」が江戸末期に焼失した。やっとのこと平成2年(1990年)、神社の御鎮座330年を記念して樹齢約三千年の黒檜(ねず)の原木を用いて復興されたとのこと。高さ2.4m・幅3.3m・重さ1t……とにかく巨大だが、樹齢三千年の木なんてあるんだわね~と感心した。

境内左側にはいくつもの碑が並んでいる。

「玉子塚」……平成5年(1993年)に、東京鶏卵加工業組合が創立30周年を記念して建立したと。築地にも業務用の厚焼き玉子を作る業者さんがたくさんあるから、使った玉子への供養として建てたのだろう。

境内末社……
天照大神」……伊勢の神宮の御祭神・日本人の大御祖神さま
大国主命」……大黒天・経営・開運の守り神
少彦名命」……恵比寿・医薬・開運の守り神
天日鷲命(あめのひわしのみこと)」……お酉様・商売繁盛の守り神

「すし塚」は昭和47年(1972年)11月1日に東京都鮨商環境衛生協同組合により建立。毎年11月1日の全国すしの日には、すし種となる魚介他がお供えされ「魚霊祭すし塚まつり」が執り行われるそうだ。ちなみに、揮毫(きごう)は、時の副総理三木武夫氏だって。
「海老塚」は昭和48年(1973年)9月に東天会てんぷら料理協同組合と(株)海老の大丸によって建立。てんぷらの種はいくつもあるが、やっぱり海老が象徴なのだろう。

「鮟鱇(あんこう)塚」は昭和48年(1973年)7月、魚河岸の仲買の尾邦・三浦啓雄氏により建立。商う鮟鱇の御霊を慰め、また鮟鱇の世にも美味なることを多くの世の人々に知らしめんとして建てたそうだ。ちなみに「尾邦」の選ぶ魚の条件は「旬の魚であること」「産地が明確であること」「獲れたての新鮮なもの」「お客様がもとめる魚の大きさ」ですと……良い仲買さんだ。
「活魚塚」は昭和59年(1984年)年5月、活魚を扱う仲買団体・東京築地市場活物組合により建立。活けじめ・血抜きをするのが毎日の方々にとって、感謝と供養の塚だ。

おきつね様が勢揃い。祠を含めて由緒は定かではないようだが、赤い前掛けは古くなると誰かが取り替えてくれるらしい。ありがたいことだ。

境内の一番奥にあった「昆布塚」は平成28年(2016年)12月8日に有限会社サイトウ様により建立。裏には「御比呂米代々供養」と彫られており、「比呂米(ひろめ)」とは797年に書かれた『続日本紀』に初めて記述された昔の昆布の呼び名とのことらしい。

でもって波除神社の近くの場外売り場……この辺だけは人通りがまばらで歩きやすかった。あとは外国の方々を含めてゴチャゴチャ。

「伏高」……鰹節がメインだけあって、たくさんの種類が置かれている。「利尻や羅臼(などなど)、昆布も高くなっちゃってね~」と、嘆きながらも皆さん丁寧に接客してくださる。年に一度だけの訪問だが、奥の帳場の脇に座って煙草を吸わせてもらう。昨年末の鰹節はとっても良いと連れ合いが言っていた。なくなったから買出しに行こうかしら。

人ごみをすり抜けるように鮮魚店を見学し河豚屋を見つけてしまい「身欠きふぐ」をぶら下げて帰ることに。毎年末に河豚を食すようになったのは、この年からだろう。

日比谷線築地駅のホームには、このプレートがたくさん貼られていた。東京メトロが作ったのか? 本門寺が作ったのか? 「問い合わせが多いからこうしたのだろうが、近いうちに外国語も併記されるかもしれません。」と当時の日記にあった。はたして現在はどうなっているか。円安が味方して外国からの訪日客があふれているが、築地も例外ではない。昨年末も荷物をぶら下げて歩くにはとても苦労した。路上にかたまって立ち食いするのはやめてくれないかしら?

 今日の「My First JUGEM」は……『釣鐘水仙の成長……』