寂しくなる……

昨年の秋ごろ、居酒屋での顔見知りお二人が立て続けに亡くなった。すっかりやせ細ってしまったお一人とお会いした時「早く病院に行った方が良いよ」と言ったのだが、医者嫌いな彼。一週間ほどして、業を煮やした知人が自宅を訪ねて強制的に病院に送った。その場で入院したのだが、ほどなく息を引き取った。
 もう一方は、具合が悪いことを不動産屋に連絡して入院となったが、やはりほどなく亡くなった。お二人とも独り暮らしだったのだが、月曜日にも顔見知りの独り暮らしの方が亡くなった。
 床貼り職人として全国各地で仕事をされてきた彼はみんなに愛されていた。「今度、仕事で〇〇さん(超有名な歌手)の家に行くんだ」と聞いた時「CD持ってくるからサインもらってきて」と頼んだら「私語は厳禁」と会社に言われているからダメだと断る律儀な彼。それでも、本人が運んでくれた「羊羹とお茶は美味しかった」と嬉しそうに語ってくれた彼の満足そうな笑顔は忘れられない。直前まで顔を合わせていたが、連絡が取れないことを気にした第三者が自宅を訪問し病院を手配したが、手遅れだったのだろう、3日後に息を引き取ったようだ。早くに誰かの手を借りれば生き延びただろうが、あえて彼はそうしなかったのかもしれないと思う私。寂しいが、ご冥福を祈ります。今日が通夜とのことだが、私は葬儀場へは行かない。代わりに彼の席にオールドを1杯置いてこよう。
 ちなみに「次は私かな」と呟いたら「大丈夫ですよ。奥さんいるから」と居酒屋の主が言う。お蔭様で私は独り暮らしではないが、連れ合いを悲しませないよう、せいぜい長生きしなければならない。一緒に散歩も行かなくちゃならないものね……

今日の「My First JUGEM」は……『次から次……』