荏原七福神の残り2つ(大井蔵王権現と東光寺)訪問を主目的として出かけた2020年5月14日のこと……
「脳天大神」を祀る大照山相慈寺を後にして、同じ町内・品川区二葉1丁目をブラブラ歩くと……
らしきを横目で捉えた。
こちら車の通用口らしきから失礼すると……
「下神明天祖神社」(品川区二葉1-3-24)……「大狛犬」がお出迎え。
台座に「消防組第五部」とあるが、昭和7年の東京市郡合併により解散した荏原町消防団消防組第五部の偉業を記念し、昭和8年(1933年)に奉献された狛犬。体高1.4m、総高4mは区内最大とのこと。
稲荷を背にする御神木の榧(かや)は樹齢600年以上。目通り幹周り3.9mは、榧としては区内最大樹木とのこと。想像できない様々な時代を生きてきたが、これからも変わりゆく世の中をまだまだ見守り続けるだろう。
神明造りの社殿……天照大神を祀る神社は、主に神明社、神明宮、天祖神社と称される。社殿扁額は「天祖神社」だが、近隣の蛇窪神社・上神明天祖神社と区別するために下神明天祖神社と称されるのだろう。大井町線の「下神明」の駅名由来でもあるはずだ。
御祭神は、天照大神・応神天皇・天児屋根命(あめのこやねのみこと)とされている。天児屋根命は、天照大神が天野岩屋にお隠れになったときに祝詞(のりと)を奏した神さま。
『大荏原総覧には「その鎮座期は不明なるも徳川六代将軍家宣の時代より社として崇拝された」とあり、正保年間(1644~1647年)、村が立会川の上流域と下流域とに分かれるに伴い、社も分立し、現在の社名が制定されたと云われています。(2020年当時の同社HPより)』
蛇窪村が上蛇窪村と下蛇窪村とに分かれた時、両村の鎮守として分社した可能性も考えられる。あまり深く調べない私だが、故あって分けたはずの村名・町名なのに現在は両社とも品川区二葉になっている。住民ではないが、なんかしっくりしない。
蛇足ながら、昭和2年(1927年)に大井町線が開業した当時、戸越公園駅は蛇窪駅としてスタートしたようだ。細川家の下屋敷だったが所有者が点々とし、東京市立公園の開園後に品川区に移譲されたあたりで戸越公園駅となったのだろう。
写真右端に「社名制定370年祭」の文字が見える。正保元年(1644年)を上下の村の成立元年として、昭和58年(1983年)に両社で340年祭が斎行されて以降10年毎に式年大祭が行われているそうだ。平成25年(2013年)は4回目の式年大祭だった。今日現在は「380年祭」になっているだろう。
そうだ、スイカが奉納されていたのだった。
社殿前から参道……表通り「四間通り」までの長い参道は区内最長とのこと。四間通りとは道幅が四間(約7.2m)だったから。蛇窪神社脇の道は三間通りだから、少し狭い。
沢山止まっていた車は工事関係の方々のだろう。
社殿左側に「小市郎稲荷社」……村を開墾した名主の屋敷神だったと。
奉納鳥居と幟がたくさん並ぶが、普通に歩くと頭をぶつける可能性がある。頭を低くして参れということかも知れない。
御祭神は宇迦之御魂神で、お賽銭を入れるところだけ口が開いていた。
愛らしいお狐様は、古そうには見えないが、台座には文政3年(1820年)の文字があるようだ。
社殿扁額……もちろん鈴紐は使用禁止だった。
慶應3年(1867年)に元の鎮座地から厳正寺跡地(二葉2-1付近)に遷された後、明治42年(1909年)にこの境内に遷されたと。もう、どこへも行きませんように。
半端ないお狐様の数に、豪徳寺の招き猫を思い出した。
稲を担う神を祀る稲荷社の脇……「斎田」と呼ぶそうで、米を栽培する田んぼ。
田植は済んでいた。説明では「神田」と表記されていたが、刈り取られた稲は、例祭時に社殿、神酒所、神輿に捧げると。
斎田から見た境内……御神木が木陰を作っていた。神楽殿はこじんまりとしていた。
この日は、二之鳥居までは行かれた。左右の燈籠は嘉永6年(1853年)の奉納。ペリー提督が黒船を率いて浦賀沖にやってきた年だった。
ふり返るとこんな具合……
もちろん手水舎は使用禁止だったが、現在は新しい青い手押しポンプになっていることを私は知っている。
玉垣築造記念……氏子さんたちの崇敬ぶりが伺える。
二之鳥居からまだ続く参道だが、その先は通行禁止だった。
ふり返って一礼して別れを告げた。こちらの狛犬は昭和7年(1932年)の奉納だった。
一之鳥居から二之鳥居までの参道は通行止めだった。玉垣築造記念の碑は昭和39年(1964年)とあった。56年経った訪問当時、また玉垣の新造工事をしていたのだろう。刻まれた奉納会社がなくなっているケースもあるだろうし、半世紀たてば町も人も変わる……
堂々たる社号碑の建つ鎮守天祖神社だった。
蛇足ながら、お辞儀は、一之鳥居前は10度、二之鳥居、三之鳥居では45度、拝殿前では直角の90度と聞いたことがある。細かな角度は別にして、祭神に近づくほど深いお辞儀にするとだけ思っていればいい。
今日の「My First JUGEM」は……『今朝は新記録……』